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執筆者の写真Koki EBATA

ウェブサイトを作った動機について③

更新日:2020年5月8日

そんな首藤さんから、一通目のお便りと御著書をいただいたのは2019年12月のことでした。

お便りには「この本はそれぞれの時期の探求の跡を示す文章の数々があちこちに散在しているのを、まとめました」との趣旨が書かれており、首藤さんの丸文字で「クリスマスくらいに良かったら感想お聞かせください。」との添え書きが加えられていました。

2019年年末は仕事が忙しかったのですが、今年の3月に入りお手紙を返信することができました。


首藤教之さま

コロナウイルスへの警戒が続く中、お元気でしょうか?
年賀以来、お返事を書くのが遅くなり申し訳ございません。
繁忙期がすぎて時間ができたので、著書「伝言ノート」を少しずつですが拝読させていただいております。
まだちょうど半分に差しかかった辺りなのですが、首藤さんの文章は前回お話しした際の印象そのままで、とても読みやすく心地よいです。
特に感銘を受けた章題が「青いトマト」です。
戦時中、栄養失調状態でお腹がすき、人の畑から咄嗟にとって口に入れてしまった青いトマト。
はたから見ると、そんな些細な犯行誰も責めることができないと思いますが、そこで愛する空腹の妹に分けてあげられなかった事を、後日悔やまれるお気持ち、心を刺す小さい傷のような痛みは、首藤さんの素朴な優しさと細やかな配慮、また詩的感性に溢れていると感じました。
アメリカではなく日本の高射砲の不発弾が自宅を破壊し、穴をあけるという衝撃もさることながら、戦争の負荷は日々の些細な出来事にまで影響を及ぼすのだという恐ろしいですね。
私は198×年生まれで、戦争を知りません。
初めて戦争体験を見聞きしたのは、小学校の図書室に置いてあった「はだしのげん」です。
B29「エノラ・ゲイ」から原爆が投下されて、一瞬にして広島が焼け野原になる。
人々は大火傷を負い、皮膚が焼けただれ、亡霊のように水を求めてさまよう場面はトラウマになりました。
こんなこと二度とあってはならないと思う以前に、これ以上の地獄が他にあるのか、それが私たちの国に実際起こった出来事なのか、信じることができませんでした。
私の祖父も戦中、満州開拓団として中国で過ごしていたことがあります。
その時に覚えた中国語を今も披露してくれますが、祖父はどちらかというと戦争に疑問をもつタイプではなかったので、満州での体験は青春の一コマのように話してくれます。
祖父も日本の地元にいたら、また「青いトマト」のような心苦しい思いをしたかもしれません。
首藤さんは、近々個展をされる予定はございますか?
私の最近のテーマが「天使さがし」ですので、天使のような首藤さんに次回お会いできるのを楽しみにしています。
コロナウイルスにはくれぐれもお気をつけください。

江畠香希

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